教わったことや本に書いてあることの受け売りではなく自らの体験の中で実感・納得できた原理・原則だけをまとめてみました
内容に関しては 財団法人少林寺拳法連盟 の正式な見解ではありません。 【サイト・オーナーへメールサイト・オーナーへメールする    
■ 第2部 第2話
明竜が昔所属していた支部で会報に連載していたエッセイを加筆再掲しました
■ 「先」について 

少林寺拳法の練習において、「対の先」だの「後の先」だのという言葉がよく出てきます。
この「先」というもの、何となく分かるのですが、後輩に質問されたとたんに、「うーん、なんて言ったらいいのかなあ」などと、お茶を濁した経験はありませんか。
今回は、この「先」に焦点を当てて、その概念を明確にしてみましょうか。

少林寺拳法では「先の先」「対の先」「後の先」などという言葉がよく出てきますが、
この「xxの先」とは何かに対し「先の・・」「対の・・・」「後の・・・」であり、その何かとは相手の「先」であり・・・ン?

面倒くさいので結論から言いましょう。
分かりやすく言えば「先」とは攻撃を言います。(ということにしておきましょう。)

それでは相手の攻撃の何を基準に「先の先」だの「対の先」と分けているのでしょう。
これを考えるにはまず、「心・気・力」の概念が明確でなければいけません。
この「心・気・力」とは人間の行動を分解しキーワードで表現したものです。

当て身で考えてみましょう。
まずどの当て身を使うかという意図があります。
そして間合いとタイミングの条件がそろった時点で感覚的なスイッチが入ります。
そのスイッチが押されると後は実際に体が動き当て身が目標に向かって伸びていきます。

こう考えると「心・気・力」とは「意図・スイッチ・極め」と置き換えられますね。
相手の「心・気・力」に対応して防御反撃を行うとそれぞれ「先の先」「対の先」「後の先」となるわけです。

それではそれぞれを個別に見てみましょう。分かり易いように後ろから考えるとします。
『後の先』

相手は既にターゲット(自分の顔面)をロックオンして、ミサイルを発射してきました。
このままでは、ミサイルが命中してしまいますが、頭は重いので動かすのに時間が掛かります、
軽くて勢いが付いている拳の命中の方が早いでしょう。
よってミサイルの弾道をそらさなくてはいけません。
結果「角度処理主体の防御」から「反撃」を行います。

『対の先』

相手がターゲットをロックオンしミサイルの発射ボタンを押そうとしているのが分かりました。
この状態なら、相手にボタンを押させると同時に、ターゲットをずらしながら反撃のミサイルを撃ちます。
ターゲットを移動させることにより、相手のミサイルは破壊力が激減し、
しかも相手の意識は攻撃に集中しているので、こちらの反撃を防御することも出来ません。
「間合いを利用した防御」から「反撃」につなげる、これが「対の先」です。
対の先では触るように受けるのも特徴です。

『先の先』

これは相手に攻撃の意図はあっても、スイッチを入れるきっかけを作らせないで対処する方法です。
攻撃をする時は、通常狙って叩きます。先の先ではこの人間の思考の特性を利用します。
すなわち絶対に「今だっ!」とスイッチを押す機会を与えずに、だけど「もう少しで攻撃できる」と思わせ続けながら、近づいていけば相手は動けないまま、こちらに捕らえられてしまうということです。
上手く対応できず、途中相手のロックオンされたら「対の先」での処理となります。
ただこの時気をつけなくてはならないのは、こちらが攻撃を仕掛ける側に回ってしまわないことです。
その瞬間、相手に間違いなく「対の先」を取られるでしょう。

「先」の意味を正しく理解し使いこなせないと、自由な攻防の中で少林寺拳法を使いこなすことは、非常に難しいでしょう。
ですが反対にこれが出来るようになれば、達人の域に達したと言っても過言ではないでしょう。
早く達人になりたいものですね。