教わったことや本に書いてあることの受け売りではなく自らの体験の中で実感・納得できた原理・原則だけをまとめてみました
内容に関しては 財団法人少林寺拳法連盟 の正式な見解ではありません。 【サイト・オーナーへメールサイト・オーナーへメールする    
■ 第2部 第4話
明竜が昔所属していた支部で会報に連載していたエッセイを加筆再掲しました
■ 当身に関する一考察(その2) −反撃の当て身− 

前回、反撃技での当て身は「グッ・ギュン・バーン」ではなく「スッ・グッ」であると述べました。
しかし擬態音だけでは良く分からないと思うので、今回は物理的に説明してみましょう。

さて、最近少林寺拳法関係者に限らず「突き」と「パンチ」の概念がゴッチャになっているようですが、
はたして「突き」=「パンチ」なのでしょうか。
微妙なとこですが「パンチ」は「突き」と言うよりも「叩き」という動作に分類できるかと思います。
それでは「突き」と「叩き」はどのように違うのでしょうか、
「何となく分かるけどなんとなくしか分からない」などということはありませんか。

バットでボールを叩くときは「叩く」と言います。この時突くという人はあまりいないと思います。
反対にビリヤードでは、玉を「突く」と言います。
これらから分かるように回転運動をエネルギー源として、他の物体に力を加えることを「叩く」と言い、
直列的な運動エネルギーを他の物体に加えることを「突く」と言います。

ですから、体の軸を素早く回転させて打つ「パンチ」は「叩き」の動作なのです。
このように考えると「突き」は重心の移動するエネルギーを直列的に相手に伝える動作であるはずです。
護身術としての少林寺拳法では、この「叩き」ではない「突き」を使います。
それでは具体的にその動作を考えてみましょう。

ちなみに、大地の力を足から、腰、肩と伝えて拳で爆発させる。
という考えは一旦全部捨てて読んでください。

拳は重心の移動するエネルギーを相手に伝える道具ですから、手ごたえを感じた瞬間、腕全体が遊びの無い棒のような状態になっていることが望ましいと考えられます。
重心は片足を浮かすことによって倒れるという移動を行います。
よって反撃の当て身では、拳は最短距離で目標に向かって伸び、それと同時に前足は相手に向けてスライドしていきます。
やがて、我の拳が相手に当たった瞬間に、後ろ足1本で倒れこむ重心を支えたまま、自分の腕を硬直させることにより、
重心の倒れ込むパワーを棒になった腕で伝えることができます。

この時、重心の移動するエネルギーが「グーッ」と伝われば「極め」、
「グッ」と瞬間的にそれができれば「冴え」のある突きと言われます。

空突きばかりやっていた頃、ビシッと腕が伸びれば「極め」、
その後すぐ引けば「冴え」と思っていましたが、
実際にものを叩いた時、間違いであったと気づきました。

この当て身は距離は稼げませんから、間合いの外から仕掛けなくてはならない攻者の当て身としては不向きです。
しかし手突きの速さと全体重が掛かる重さがあり、近づいてくる相手に極めるには理想的な当て身です。

皆さんも実際に体験すれば分かることですが、
この当て身の感覚は攻撃用の当て身の感覚とは全く違います、通常のミット打ちやバッグ蹴りでは体得出来ないと言えます。
このことからも少林寺拳法の組み手主体の本当の意味と重要性が伝わってくるような気がしませんか。