教わったことや本に書いてあることの受け売りではなく自らの体験の中で実感・納得できた原理・原則だけをまとめてみました
内容に関しては 財団法人少林寺拳法連盟 の正式な見解ではありません。 【サイト・オーナーへメールサイト・オーナーへメールする    
■ 第2部 第9話
明竜が昔所属していた支部で会報に連載していたエッセイを加筆再掲しました
■ 子供と老人と女性の少林寺拳法 

少林寺拳法は護身の技術です。

・・・とは言うものの、子供に「開身突からの押閂投」や「首絞守法十字投」が必要でしょうか。
肩の挙がらない老人に「一本背投」をさせるのは、無理がないでしょうか。
また、女性が男性のように、怪我の伴いがちな激しいド突き合い乱捕りをするのを、私は見ていられないのですが、皆さんはどうお考えですか。
ということで、今回は老若男女の少林寺拳法を考えてみたいと思います。

まず子供から見てみましょう。
アメリカでは、フットボールの一流プレイヤーでバスケや野球も上手い選手が多いと聞いています。
彼等は一流のフットボールプレイヤーと言うより、一流のアスリートであり、シーズンによって色々なスポーツをしているそうです。
一方日本では専門バカ(汚い言葉でごめんなさい)のようなスポーツ選手が多いようです。
日本の青少年スポーツ界では育成方針も試合重視であり、短期間に非常にストイックな練習を強いる傾向があります。
そのためスポーツ障害に悩まされたり、選手引退と同時にそのスポーツを全くやらなくなったりするケースも多いようです。

このことは少林寺拳法にも当てはまらないでしょうか。
そして生涯を通して修行する少林寺拳法という観点から見た時、このような方法で本当に良いのでしょうか。
私が思う、長い目で見た修行のフェーズは次のようなものです。
幼少期(小学生頃まで)

走り回ったり、転がったりしながら基礎体力をつけたり平衡感覚や反射神経を鍛えることを目標とします。
ですから鬼ごっこやドッジボール、障害物競走などに練習の大半を割いても良いと思います。
また、これらの遊びを通して友達を作ることも、この頃経験させたいものです。
少年期(中学生頃まで)

移動練習やミット打ち等拳法の基礎動作も大いに取り入れましょう。
しかし、まだまだ基礎体力養成期間です。
そしてこの頃は、「弱いものいじめをしてはいけない」といった人と人との基本的なルールも教えましょう。
青年期前半(高校〜大学)

この頃になれば本格的に拳法の練習をすべきです。
しかし「強くなりたい」と思う盛りの頃と思います、だとしたら徹底的に攻撃力を高める練習をすべきです。
またこの頃から後輩の指導を経験させるのも良いでしょう。幅広い年代の人と接することにより得るところも多いはずです。
青年期後半(大学〜社会人)

攻撃だけでは乱捕りをしていてもやがて壁にぶつかります。
ですからここに来て防御反撃という少林寺拳法本来の技術の追求に目を向けさせたら良いと思います。
また拳法で学んだことを日常の生活に活かすことが出来るようになる時期かと思います。
壮年期

青年期に身につけた拳法の原理・原則を応用し、使える技の数を増やしてみるのも良いでしょう。
次に、壮年あるいは老年から拳法を始める人の場合を考えてみましょう。
まず定期的な運動を行うことにより、精神的・肉体的健康を取り戻すことを目標としたらどうでしょう。
次に余力が出てくれば、技の原理を研究することを楽しむというのが良いかと思います。

最後に女性の場合ですが、男性より体力的に劣るのは否めません。
そしてまだまだ少林寺拳法は男性のもので、練習方法も男性用と言ってよいでしょう。
ですから乱捕り練習一つとってみても、男性のように、ド突かれながらもそのうち・・・というわけにはいきません。
かと言って、ただ男性の練習を軽くソフトにしただけでは、いつまでたっても護身術としての少林寺拳法は身につけられないでしょう。
嫌がる女性に乱捕りしろと言う気はさらさらありませんが、
女性の皆さんだって、決め事なしで攻者をいなせるようになったら、嬉しいことではないでしょうか。

今の段階は、女性でもできるようシビアに無理無駄を省いた練習方法を考えてみる段階ではないでしょうか。
今ある練習方法が全てと決めつけず、今までの練習方法の常識にとらわれず、もう一度護身に求められる能力を割り出して明確にし、
それらを身につける効率の良い練習方法を模索策してみませんか。
そのようにして出てきた新しい練習方法を多くの人で体験し、改良と淘汰を重ねれば、
女性でも無理なく、技術を身につけることができるようになるのではないでしょうか。

今まで述べたものは、もし私が指導する側もしくはされる側だったらという前提で考えています。ですから「私はガチンコ乱捕りがしたい」という女性がいればやったらいいと思いますし、「木の葉送り」を習いたいという子供がいれば教えてあげるべきだと思います。本人がやりたい、または興味を持っていることをするのが一番良いと思うからです。ただ、「人を指導しなさい」といわれた時には、私は今言ったようなビジョンを持って指導に当たりたいと思っています。

余談になりますが、私には才能がないせいか、
護身術として実際に使える少林寺拳法を追求するにあたって試行錯誤の連続になり、荒っぽい練習をしたり無理や無駄も多かったと思います。
ですが、本当に少林寺拳法の原理・原則を掴むことが出来たら、そこへたどり着く近道も見つけることが出来るのではないかという気がします。
そうすれば、体力に自信のない女性や老人も無理をせずに護身術としての少林寺拳法を身につけられるはずです。
やがては一方的に技を教えるのではなく、一緒に研究し解ったことをお互いに教えあう、という理想的な環境の実現も夢ではないと思っています。