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■ 第5部 GUN日記
涙と笑いの体験記
■ 12月4日 心の準備もないままに
昨日、東京医科歯科大学病院に行った。
手術から1ヶ月。腫瘍の検査結果が出る運命の日だった。
覚悟を決めたつもりだったが、結果を聞くまでは気が気じゃなかった。午前中は会社に出社していたが、仕事はまったく手につかなかった。

病院近くのスタ丼屋で遅めの昼食をとる。今回の入院で良かったことのひとつはスタ丼に出会えたこと。正式名称「スタミナ丼」、武蔵野発生のB級グルメ。茹でた豚バラ肉を少量の葱と一緒の熱々の中華なべで炒める。それが丼の上にドバーッとぶちまけられており、真ん中に生卵をひとつ落として食べる。味付けはいたってシンプルでにんにく醤油。中華なべの上で絡められるのだが醤油の香ばしさを引き出すタイミングが難しい。焼きすぎれば醤油が焦げ臭くなってしまう。B級だが間違いなくグルメだ。学生の頃に出会っていたらハマッたことだろう。天下一品のラーメンと毎日交互に食べていたのではないかと思われる。

さて、予約時間を30分ほど過ぎて診察室に呼ばれた。僕が丸椅子に腰掛けるなり、お医者さんはドラマチックな演出もないままに「良性ですね」と言った。
それまで、良性だったら何と言おう、悪性だったら何と言おうと悩んでいたが、心の準備を整える間も与えられずに判決を言い渡されてしまった僕の口から出た言葉は「あ〜良かった」。顔は無意識のうちに笑顔になっていた。

良性と分かればそこからは強気だ。パソコン画面に映る検査結果の所見を数分掛けて何度も見直し、一言一句その場でお医者さんに言葉の意味するところを確認した。

まったく、脅かしてくれるなよ。
「軽度の大小不同を伴う成熟脂肪」がMRIに映った影の正体だったのだが、ならば「脂肪種は通常画像が一様になる」などと言ってくれるな、と突っ込みたくなった。
この2ヶ月間生きた心地がしなかった。でもまあ、喉元過ぎればなんとやら、本の数分で心が一気に晴れ渡っていった。

ケータイメールで、あるいは家のパソコンで、とにかく心配をかけてしまった知人達に片っ端から報告した。誰も彼もが喜んでくれた。すぐに返ってくる返信メールを読むうちに、生き延びられたことが正解だったのだと段々と実感がわいてきた。

今回の経験で学んだことがある。まず第一に古い保険は見直す必要があることを学んだ。第二、人生は期限付きであるということを学んだ。そして第三は心配してくれる友人知人の存在のありがたさを学んだ。
これからは第二の人生(?)のつもりで生きよう。