技術、練習方法、教えの実践・・・ 少林寺拳法に関する研究発表の場
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■ 六段昇格考試の宿題 2 (明竜)
挑戦|3つの自戒|今年の挑戦|挑戦を通して得たもの|将来の抱負

明竜が六段を受験するにあたり提出した宿題です。
この年の特別昇格考試論文で入選したものです。

■ 現在の心境と将来の抱負
第1章 挑戦

10月15日千葉県浦安市総合運動公園で関東実業団大会が開催された。今年は私の支部から個人・団体延べ15名の選手が参加して、14名が入賞する嬉しい結果が出た。

会社内に少林寺拳法部を設立したのは2003年の9月のことだった。日本IBMと言えばビジネス界でも仕事が厳しいことで有名だ。ましてや私が支部を設立したのは時間労働制の開発製造部門ではなく、裁量労働の名の元に山のような仕事をこなす営業部門だ。設立当初多くの人から支部運営は無謀だと言われた。しかし人間とは天邪鬼なもので不可能と言われると挑戦する意欲が湧いてくる。

第2章 3つの自戒

部を運営するにあたり3つの自戒を立てた。第1に「目標は具体的な数値目標として掲げること」。

例えば、単に「社会問題に関心を持つ」と言うよりは「1年間大手新聞3紙の社説を読み比べる」と言ったほうが分かり易い。「会社を成長させる」ではなく「5年以内に社員数を2二倍に、売り上げも2倍に利益は3倍に」と言ったほうが分かり易い。具体的な数値目標は白黒はっきりする分、プレッシャーが大きい。しかし、真剣にならざるを得ないからこそ成長することができる。

2つ目の自戒は「多くの情報を分析してあらゆる角度から検討する。そして一旦決めたら一生懸命やってみる」という姿勢を貫こうと決めたこと。結果がでるまでは自分の選んだ方法が正解かどうか分からない。だからこそ正解と信じて挑戦する勇気が必要となる。

3つ目の自戒は「やりっ放し」にしないといことだった。結果の如何に関わらず自分の行動は最高の分析材料となる。何かを終えたあとは気が抜けがちだが、そこで「やりっ放し」にせず、第三者の視点で客観的な評価をすることで地に足の着いた戦略立案ができる。やってみたら冷静に振り返って、もし間違っていたら大胆に修正しようと決めた。

最近企業では「経営品質」向上への取り組みが盛んに行われている。一見回り道のようだが経営の質を高めることが結果的に企業を成長させるということに多くの経営者が気づき始めた。そしてこの考え方は支部運営にも応用が可能だ。ビジョンを掲げ、現状を把握し、そのギャップを埋める方法論を確立し、あとは実行する。社会で学んだことを支部運営に生かし多くの部員が楽しく積極的に修行できる環境を作りたい。

第3章 今年の挑戦

支部設立から3年、現在では部員数も20数名となった。今年は部一丸となって大会に取り組んだ。仕事柄満足な練習時間が取れないが、こればかりはどうしようもない、この会社に少林寺拳法部を作った宿命だから受け入れるしかない。物理的な時間が満足に取れない以上練習のやり方を変えるしかなかった。

無理や無駄をどこまで省けるかがポイントとなる。大会までの全体スケジュールを組み、各人で練習できることは正規練習以外の時間で練習してもらい、練習時間内は課題点の修正しか行わないぐらいの姿勢で臨んだ。仕事で学んだノウハウを駆使して練習の能率アップに努めた。今回の大会出場はそういう意味では自分達が置かれた環境への挑戦でもあった。その成果が冒頭の結果として現れた。部員各位が予想以上に大健闘したと言える。

また奮闘したのは選手だけではない。部員達は裏方スタッフとしても大会の成功裡な開催に貢献してくれた。競技結果の集計作業を当支部が担当して3年目になる。専用の集計システムを組み、お客様から「神様」と呼ばれるほど優秀なIBMエンジニア達が張り付き遅滞無く正確な競技結果をはじき出してくれた。

他にも競技に参加しない部員が写真撮影や応援のために駆けつけてくれたりと、まさに部一丸となっての取り組みを体現する大会参加となった。

第4章 挑戦を通して得たもの

選手を出場させるからには納得の行く結果を出させるのが指導者の役目だ。納得のいく結果かどうかは単なる順位では判断できない。そこで大会後に選手に書いてもらったアンケートの抜粋をもって選手達の納得度を計ってみたい。
「仕事が忙しくストレスが溜まっていましたが、練習をすることによってストレス発散になり、逆に良かったです。また、ひとつの大きなものを乗り越えたという達成感が、とても自信になっているような気がします。」

「真剣に取り組めば取り組むほど意欲が増し、物事をより良くしてゆけるという自信がつきました。」

「年齢とともに、練習の仕方、技の使いこなし方、魅せ方が変わるということを発見できた。」

「最初は大会に向けて弱気な私でしたが、皆さんが練習を頑張っている姿を見たり、熱心に教えてくださる方のためにも頑張らないと、という気持ちになりました。大会に出て本当に良かったです!」

「自分自身の技術も高まりましたけれど、何より伝える技術を身につけられたと思います。」

「20歳代の若い社員の勧誘で部活をもっと活性化させたい」
どれもが嬉しい言葉だった。

第5章 将来の抱負

将来の抱負として社内に少林寺拳法部OBと理解者を大勢作っていきたいと考えている。ドライになりがちな仕事の現場だが、そんな小さな連帯感が潤いとなるのではないかと思うからだ。やがてそんな潤いが社内や社外にも広がっていくことがあれば、それは開祖が言った「社会のあらゆる職業のあらゆる階層に少林寺拳法の考えを持った人間がいれば、この世はもっと住みやすくなる」という巨大なパズルの一ピースになるのではないかと思われる。

3年間の支部運営や大会への挑戦を通し、部員の皆に勇気を与えることができ、反対に私は部員から勇気を与えられた。「自信が無いのに勇気はでない」は開祖の言葉だが、そんな経験を通してあらためて開祖の言葉を実感した。