技術、練習方法、教えの実践・・・ 少林寺拳法に関する研究発表の場
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■ 武専高等科修了論文 (明竜)
序章 ある試み  テーマ設定に関して|第1章 仕事をする意義|第2章 会社選び|第3章 会社に入ったら

明竜の武専高等科修了論文です。

■ 序章 ある試み  テーマ設定に関して

少林寺拳法開創の動機が、日本の未来をリードする若者を育てることにあったことは、少林寺拳法の拳士であれば、誰でも知っていることだろう。
以来60年、その志は国内外に広がり、様々なフィールドで花を咲かせた。
少林寺拳法の教えは、今日の日本の繁栄に少なからず貢献した、と言えよう。

しかし、自覚症状がないままに、癌が全身に転位するのと同様、日本再興の深層でも、静かにひずみが拡がっていた。
90年代のバブル崩壊を契機に、環境破壊、若者のニート問題、あるいは年金破綻など、様々な分野で一斉に問題が噴出し、戦後60年発展してきた日本の社会システムが、ここにきて多くの深刻な制度疲労を露呈したことは、明白である。現在の延長線上に未来を描く手法が通用しなくなったことが、現在社会の閉塞感の根底にある。

刹那的、と言われる昨今の子供達だが、その行動の背景には、大人達の想像を絶する絶望感がある、と言われている。
日本経済の完全破綻、深刻な環境破壊、彼らの多くは、自分達が大人になる頃には日本はメチャメチャになっているだろう、と予測している。寂し過ぎる未来予想だが、これは子供達の責任ではない。ツケを廻してしまった大人の責任である。よって、未来のシナリオを書き換えるのは、その前の時代を生きた我々の義務と言える。
その作業は決して楽ではない。しかし今の日本は、流血を覚悟で根本的な治療措置を取るべきところまで来ている。過去の成功体験を冷静に見つめなおし、時代に適合しなくなったものは大胆に捨て去ってでも、新たなシナリオを書いて未来を構築しなくてはならない。

私は現在、日本IBMという会社に勤務している。IBMは米国を中心に170カ国で活動を展開しており、年間の売り上げ12兆円の国際企業である。私はこの会社で、顧客エグゼクティブ研修機関の主任インストラクターとして、年間数百名の日本の経営者の方々とお会いしている。

当論文では、それら日本経済のリーダー達から学んだことや、自分の経験も踏まえ、青少年の教育、それも「社会に貢献する心構え」、をテーマに掘り下げてみることとする。一風変わったスタイルだが、これから社会へ出る若い世代へ、社会人の先輩として書面でアドバイスを送る、という形にしてみた。
そしてタイトルはこうである。「これから社会に出る君達へ」
■ 第1章 仕事をする意義 
第1節 仕事をするのは何のため

皆さんの多くは、高校や大学を卒業したあと、会社に就職したり家業を継いだりして、何らかの「仕事」に就きます。ではなぜ、皆さんは仕事に就くかを、考えたことがありますか。

周りがそれを、当然と思っているから? 日本国憲法に労働が義務と定義されているから? 

もちろん生計を立てるためには、お金を稼がねばなりません。ですが、その為だけに20歳から60歳までの人生の最も輝かしい期間を費やしてしまうのでは、寂しすぎませんか。

人類の歴史は約400万年。人がその人生で力を発揮するのは、せいぜい20歳から50歳の30年間程度。これは、人類の歴史の12万分の一、にも満たない短い期間です。
そして、どんなに名声があっても、どんなに資産があっても、この過ぎた時間は取り戻せません。でも逆に短い一生だからこそ、価値ある人生を送りたいとは思いませんか。
そして、自分の足跡を残すいくつかの方法のうち、最も大きな可能性を秘めているのが「仕事」、ではないでしょうか。

半分は自分のため、そして残りのもう半分は、人や社会や地球のために働いてみてはどうでしょう。
第2節 仕事を通して学ぶこと

職業に貴賎は無い、とはいうものの、どうせ仕事をするならば、仕事を通して新しい発見があり、自らの成長につながるようなことをしたくはないですか。

もちろんアルバイトをしていても、新たな発見があるかもしれません。しかし、あなたが仮に会社の経営者だったとして、考えてみてください。会社の未来を左右するような大事な勝負を、時給数百円で働くアルバイトに任せるでしょうか。
責任の軽い仕事は楽ですが、得るものも少ないのです。反対に、責任の重い仕事をこなすことは楽ではありません。ましてや、それが会社の存亡に大きな影響を及ぼす事柄ではなおさらです。しかし、そんな困難を乗り越え、克服したとき、人は自分の潜在能力や可能性を実感できるし、「やりがい」や「生きがい」を感じることができます。

アルバイトも立派な仕事です。現在の日本経済は、アルバイトの存在抜きには成り立ちません。しかし、正社員として企業に勤め、そこから学べることは、アルバイトとは比較にならないほど多いのです。仕事とは、生活の糧を得る手段であるとともに、大きな挑戦をする場、でもあるわけです。だからこそ、安易にアルバイトの道を選択するのではなく、企業の正規採用を目指して欲しいのです。
第3節 心構えと仕事に対する姿勢

仕事に取り組むにあたって、皆さんはどのような心構えで、対峙すれば良いのでしょうか。長らく日本社会には、学校で基礎教養を学び、真白な素材として育ち、就職先の企業がその素材を自社に合わせて教育し、一人前の社会人にする習慣がありました。しかし、この方法は今後も正しい方法と、言えるのでしょうか。

BRICs(ブラジル、ロシア、インド、チャイナ)などと呼ばれている新興国では、学生は社会に出た時すでに、社会人としての実務教育を終了し、ヤル気満々で仕事に臨む人も少なくありません。そして国際化の影響で、皆さんがライバルとして戦うのは、そうした彼らなのです。既にウォーミングアップを終えた大勢のアスリート達と、戦わなくてはならないのです。やはり皆さんにも、十分準備をし、臨戦状態で社会に出ていただきたいのです。

まだ遅くはありません。社会に出るまであと何年ありますか。1年なら1年を、3年なら3年を有効に使って力を蓄えましょう。方法はたくさんあります。柔軟な発想で、自分にあった方法を見つけて下さい。
■ 第2章 会社選び
第1節 小さな会社より大きな会社

大きな会社で大勢の人を動かし、困難な状況を打開し、100億円のビジネスを遂行する経験は、自分を大きく成長させてくれます。

こう書くと、「いやいや小さな会社にだって、やりがいのある大きな仕事はあるはずだ」、との反論が聞こえてきそうです。
確かにそれも事実でしょう。ただ私が言いたいのは、明確な目標があるわけでもないのに、臆病を隠す言い訳としてそう言い張るのなら、やはりそれは違うということです。
大きい会社に入って安穏としてしまっては困りものですが、これから社会に打って出ようという皆さんは、大きな夢を描いて、アルバイトよりも正社員、そして小さい会社よりも大きい会社と、果敢にチャレンジしてもらいたいと思います。
第2節 時代の流れを読む

米国経済学者Pドラッカーが、「変化はコントロールできない。できるのはその先頭に立つことだけだ」と述べているように、どんなに頑張っても、人間の力には限界があります。だからこそ、時代の流れを読むことで、時流を味方につける必要があるのです。

人類は長い農耕社会の後、工業化社会、情報化社会へと進化しました。そして情報化社会が、ある程度の成熟をむかえている現代、すでにその次の時代に眼を向けている人たちがいます。では情報化社会の次は、どんな時代が来るのでしょうか。
一説には「コンセプトの時代」、ではないかと言われています。コンピューターや機械では生み出すことのできない「新しい概念、を打ち立てる能力」が問われてくるのではないか、と言われています。

常識に縛られず、人や社会に流されず、確かな知識と豊富な経験、そして柔軟な発想で新しいコンセプトを生み出す、新しい時代のリーダーを目指しましょう。

就職活動にしても同様です。早め早めに準備に取り掛かる。そして状況にあわせ、適宜戦略や戦術も見直していく。そんなアプローチが、結果として自分を目標に近づけていくのではないでしょうか。主体的な早めの決断で、有利なものにしてもらいたいと思います。
第3節 相手の立場で考える

さて、冷静な視点で現代を俯瞰し、未来を先取りするためには、いくつかの注意点があります。
そのひとつが、「相手の立場で考える」ということです。社会で生きていくとはすべからく、他人と接触することを意味します。だとするならば、コミュニケーション技術に長けているに越したことはありません。自分の意思を明確に持つとともに、他人の置かれた状況や立場を考え、発言や行動の背景を知ることが、意見の相違を埋め合わせる道を見つけるために、必要となります。

相手のことを理解せずに、自分の考えを理解してもらおうというのは、どだい無理な話です。だからこそ、相手の立場で考えられる能力が、大変重要になってくるのです。
■ 第3章 会社に入ったら
第1節 一目散に突っ走れ

仕事は一般的に辛いものです。社会に出れば、それまでに体験したことのない大きな壁を、何度も乗り越えなくてはなりません。経験がないから、乗り越えられる確信は持てないでしょう。でも、越えなくてはならない壁なら、ぶち当たるしかないのです。果敢に挑み、真剣に努力すれば、周囲の人が必ず助けてくれます。だからこそ、余力を残して戦いに挑むのではなく、覚悟を決め、一目散にゴールに向かうように突っ走ってもらいたいのです。
第2節 くじけそうになったら

会社人生は30年の長丁場です。「この会社は合わない」「今の自分は、本当の自分ではない」、自責他責を問わず、くじけそうになる要因はたくさんあるでしょう。でも、簡単にくじけてはいけません。一旦くじけると癖になるからです。若いうちに転職してしまう人の半数以上は転職を繰り返し、その都度、条件が悪くなっていく、という調査結果が出ています。

社会はエキサイティングなゲームの場でもありますが、過酷なレースの場でもあります。しかも、人生というレースは一発勝負でやり直しはききません。会社から逃げることはできても、自分から逃げることはできないのです。
条件が不利だろうが、環境が悪かろうが、自分を諦めてはいけません。あなたの人生にはテレビゲームのようなリセットボタンはありません。諦めず最後までレースを続けるしかないのです。本当に辛い時は弱音を吐いていいと思います。ただ、吐くだけ吐いたら気持をリセットし、その場からまたレースを再開して欲しいのです。

人生レースのゴールはひとつではありません。走っているうちに別の本当のゴールが見つかった、なんてよく聞く話です。だから本当の自分のゴールを見つけるためにも、簡単にレースを降りてはいけないのです。
第3節 感謝の気持ちを忘れない

他人の気持を思いやることが大事だ、と先に述べましたが、もっと言えば、他人への感謝を忘れてはなりません。人は一生のうち、一体どれだけ他人の厚意に助けられるのでしょうか。ちょうど河原の石が、何千回も何万回も他の石にぶつかって丸くなっていったように、多くの人の厚意があなたを形作ってくれたのです。

中には、もう他界された方もいるでしょう、二度と会えない人もいるでしょう。むしろ、そんな人の方が多いのではないでしょうか。恩は、その恩を受けた人にはなかなか返すことはできません。だからこそ、受けた恩を忘れずに、別の人へその恩を伝えていって欲しいのです。

昨今、権利の主張ばかりが目立つような気がします。義務を果たさず権利ばかり主張する人は、一見得しているように見えますが、本当にそうなのでしょうか。小さな我を主張することで、逆に大きな幸せを逃してしまっているのではないでしょうか。「情けは人のためならず」、ということわざがあるように、この世には、人知を超えた壮大なシステムが存在します。若い人には、小さな損得を越えたところで、大きな成功を掴んでもらいたい、と思います。
そのためにも、常に感謝の気持を忘れないようにしてもらいたいと思います。

自分の未来は自分で築くしかない。だからこそ仲間を作り、協力して頑張ってもらいたいと思います。
これから社会に出る君達へ、人生のちょっと先輩からのアドバイスでした。